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夕日影

 

 

それはね帰り道で

清らかで優しい橙色の夕焼けを見た時。

 

君がこれを見たらどう思うんだろうって

僕はいつも想ってしまうんだ。

 

夕日に霞む町も電柱も草木も橙色に染まって

千切れた雲はどこまでも遠くて

 

僕の体はその儚い水平線に

まるで溶け込んだように橙色なんだ。

 

きっと君は優しく微笑んで

少しの切なさと溢れるような美しさを感じるんだろう。

 

 

それはね帰り道で

どこまでもおおらかで

頬をつたうような夕焼けを見た時。

 

君にその全てをあげたいと僕はいつも想ってしまうんだ。

やがては沈む静かな夕日の眩しさも橙色の遠い空も

僕のこの小さな儚さも切なさも淋しさも幸せも

この手でにぎりしめて、

君のもとへと走っていって、

なにもかも君の腕の中へ押し込めてしまいたいと

 

僕は切ないぐらいにそう、

想ってしまうんだ。

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